世に出た骨のうれしい論文

骨を強く作る為にはどのような形状が良いか? 医学・工学の分野の研究が面白いのでシェアします!!!それは・・・

Outstanding in vivo mechanical integrity of additively manufactured spinal cages with a novel “honeycomb tree structure” design for inducing high quality bone: outcomes in sheep model

大阪大学大学院工学研究科の中野貴由教授の研究グループの研究です

日本語で完結に紹介をして下さるサイトがあるので併せておきます↓↓

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★イントロダクション★

私たちが地球という星で生活していく中、皆平等に影響を受けるのが重力です

その力に抗うように生活するには筋や骨の硬さが必要になります

その中で骨は足の裏で立つ以上重力のベクトルや受ける時間的要素等の影響は規則性が生じます

つまり必要な動作の中において一つの骨の総体積中全てがその強度に抗する必要がありません!!

体は構造上優先的に圧に抗する為の必要な部位の強度を上げ密度骨の配向性を変化させています

密度は皆さんなじみのある骨密度です!密度が高い方が強度が強くなるのはイメージわきますよね?

今日は配向性の話を中心にします

 

★配向性に関係する外力★

骨の配向性とは読んで字のごとく組織の配置される向きです

細胞が作る構造物である骨はミクロな骨芽細胞(骨を作る細胞)がベースとなります

この骨を作る細胞は四方八方に骨を作るわけではなく作る向きが決まっております。

この細胞が同じ方向に向いていれば向いているほど、ある方向からの外力に強い構造となるわけです

例えば綱引きをイメージしてください

 

同じ方向に向けて引くのといろんな方向に引くのとではどちらが強い力を発揮できるでしょう?

同じ方向を向いている事が重要であることはすぐわかると思います

密度が高くても配向性がバラバラでは強度が高いとは言えないと思います。

骨の配向性を決定させる要因はその骨が受けている外力に依存していると考えます

 

私が研究しクライアントに提供し情報発信している事はずばり!!

この外力を動作に応じて必要なところに介入することで動作が変容し長期的に骨強度に影響を与える可能性があるという事です

しかしセラピストが加えられる外力というのには限界があり、そして外力の質にも選択性が少ないわけです

何が言いたいかというと、外力が骨にいいというのはわかっているんだけど、どんな外力が良いのかわからないのです!

 

紹介する論文は骨の配向性を誘導し骨強度を上げるリモデリングサイクルに入れる現状最善デバイスを作ったと思われます!

それはこれまで全く予想していなかった方向からのアプローチでした・・・大事なのは荷重を伝えるための形や構造

 

★ハニカムツリー構造★

端的にまとめると脊椎疾患の早期治癒を促すためのケージ作成を骨配向性の整った質の高い骨を誘導する工夫を行い完成したのがハニカムツリー構造のケージです

ハニカムツリー構造とはハチの巣のような六角形に各角の対角線を結んだような形状を立体的に構造されています

 

ハチの巣の形状をハニカム構造と呼びサッカーのゴールネットや座面クッションに採用される構造機構になっています。力学的に頑丈さや力の分散性が良い形とされているのでしょう!

 

骨のコラーゲン/アパタイト配向性(骨配向性)によって強く支配されることを、材料工学の視点から明らかにした事で出来たケージなので

現状ハニカムツリー構造が骨配合性の良い骨の形成を促す最も良い形状である事が言えます

受けた荷重がこのケージを介し伝達されると骨強度が従来のケージ(自家骨を使用するケージ)の3倍の強度がある事が分かりました。

ハニカムツリー構造のケージは製品化され今後たくさんの脊柱疾患の患者の貢献をする事でしょう

 

★ハニカムツリー構造を臨床応用へ★

骨の配向性をよくする誘導をするハニカムツリー構造を応用し介入方法を模索しています

今後良い結果が出たら報告していきたいと思います

 

 

 

 

骨の応力から考える過剰に筋が働く原因

この筋ばかりが疲れます、疲労するのはいつも一緒なんてよく聞きますよね。これは・・・・

動作目的骨の荷重応力状態が乖離している可能性があります

例えば前に進みたいとします。しかし骨の応力が後方に進もうとする応力が働いていれば進もうとする方向と逆に向かう誘導がされます。そこで前方に進もうとする筋が作用するのですが、骨の応力がいつまでたっても逆に働いては常時筋出力を出さなければなりません。この現象が上記の症状になる可能性があります

 

前脛骨筋で例えてみましょう

前方に進みたい人がいるとします。その人は殿部が後方に引けていたとしましょう

前方重心になるこの姿位は脛骨の腹側に圧縮応力が加わります(足の青いラインの前面側に圧縮応力)

前方に進みたい時一般的に脛骨の背側に圧縮応力が加わります(足の赤いラインの後面側に圧縮応力)

立位姿位と歩行の姿位は脛骨の圧縮応力が一致していません

ここで方法としては①前脛骨筋を収縮させて脛骨腹側に引張応力を加えます(ここでは筋の作用や関節の運動は考慮せず骨の応力に着眼します)脛骨背側が相対的に圧縮応力に働きます。

別の方法としては②姿位等を整えて脛骨背面に圧縮応力を加えます

①と②の方法がありますが一方の方は継続が困難になります

どちらだと思いますか?

 

それは①です

最初に説明した通り①は常に後方に進もうとする力が働いているので筋収縮と骨の誘導方向が逆になっています。すると前脛骨筋は前進する為、常に働かなければなりません。これでは前脛骨筋が疲れてしまい前進する事が大変になります

もし骨と応力の知識を知っていれば・・・

 

不一致した骨の応力を正そうとする介入をするでしょう(^^)

コリや筋肉がつってしまう事等もこのような不一致が起きているかもしれませんよね?

 

今日はここまでです、ありがとうございました(^^)